「不動産売却するなら一般媒介より専任媒介にすべき」は本当か?
最終更新日:2018/03/28 不動産売却特集
不動産会社に不動産の売却を依頼する場合は、媒介契約というものを締結することが法律によって定められています。書面により相互に契約内容の確認をし、トラブルを防ぐのが目的です。
そして、媒介契約には次のような3つの種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
どの媒介契約を選ぶかで、売却完了までのスピードが大きく変わってくる可能性があるのですが、いまいち意味がわかりづらいですよね。このページでは、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」のそれぞれの特徴、そしておすすめの媒介契約についてご紹介していきます。
一般媒介契約とは?
不動産を売りたい!と思った時の強い味方は、その道のプロである不動産会社です。不動産会社に不動産の売却を依頼する場合、宅地建物取引業法という法律によって、「媒介契約」を締結することが義務付けられています。この「媒介契約」には3つの種類があり、「一般媒介契約」はその中の契約形態の一つです。
「一般媒介契約」は大きく分けて5つの特徴があります。
- 他の不動産会社にも依頼可能
- 自分で買主を探せる
- 契約期間の法令上の定めがない
- 指定流通機構への登録義務がない
- 不動産会社は活動報告の義務がない
一番大きな特徴は、複数の不動産会社へ依頼することができる点です。「一般媒介契約」では、相手に「他の不動産会社にも依頼していますよ」と知らせる明示型と、知らせない非明示型を選択することができます。国土交通省の定めている「一般媒介契約書」では明示型が原則になっていますが、特約条項によって非明示型の方法をとることも可能です。また知人やご近所など、自ら買主を探すこともできます。
契約の有効期限は通常3ヶ月以内と定められていますが、「一般媒介契約」の場合は法令の定めがありません。
注意していただきたいのは、レインズへの登録義務がないことです。不動産会社は依頼者へ活動報告の義務もありませんから、短期の売却を望む場合や、密な連携を希望するのであれば、他の契約形態を検討する必要があるでしょう。
このように「一般媒介契約」は拘束力がない一方、不動産会社との親密度やサービスが弱くなる傾向にあります。
専任媒介契約とは?
「専任媒介契約」とは3つある媒介契約の中の1つで、「一般媒介契約」と比較すると拘束力の強い契約になります。
主な特徴は次の通りです。
- 他の不動産会社へ依頼できない
- 自分で買主を探せる
- 契約期間は3ヶ月以内
- 指定流通機構へ契約から7日以内に登録
- 不動産会社は2週間に1回以上活動報告
「一般媒介契約」との大きな違いは、複数の不動産会社へ売却を依頼できないことです。よって必然的に1社のみとの付き合いになります。しかし、知人や親戚など自分で買主を探すことも可能で、専属専任媒介契約と比べると柔軟な契約内容になっています。例えば、不動産会社が探した買主より、高額で購入してくれる買主を”自ら”探せるのも「専任媒介契約」の特徴でもあります。
その他のメリットとしては、不動産会社は指定流通機構(レインズ)へ「専任媒介契約」から7日以内に登録の義務があるため、売却したい物件が早期に多くの人の目に触れ、売れる可能性が広がります。レインズは、主に会員になっている不動産会社が閲覧することになります。
指定流通機構(レインズ)とは?
レインズとは、不動産物件の情報交換ネットワークのことで、現在は東日本、中部、近畿、西日本の4つの地域の不動産流通機構があります。
「専任媒介契約」の契約期間は、3ヶ月以内とされています。仮に3ヶ月より長期の期間を定めても、法律によって3ヶ月に短縮されてしまいます。実際、不動産会社が広告や営業活動をするには、3ヶ月という期間は案外短いものです。基本的に期間の定めのない「一般媒介契約」に比べ、「専任媒介契約」を締結していれば不動産会社は積極的に行動してくれます。2週間に1回以上の活動報告義務もあるため、より密度の濃い関係性が生まれるでしょう。
専属専任媒介契約とは?
不動産を売却する場合に、不動産会社と締結する媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあるということはすでにお伝えした通りですが、その中で最も依頼者と不動産会社との関係性が密なのが「専属専任媒介契約」になります。
「専属専任媒介契約」の主な特徴は次の通りです。
- 他の不動産会社へ依頼できない
- 自分で買主を探すことができない
- 契約期間は3ヶ月以内
- 指定流通機構へ契約から5日以内に登録
- 不動産業者は1週間に1回以上活動報告
「専任媒介契約」同様に、他の不動産会社へ売却の依頼することができません。また、自分で買主を探すこともできず、不動産会社へ全てお任せする状態になります。しかし、不動産売買は大きな金額が動くため、プロに任せることで安心感があります。「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」の大きな違いは、自分で買主を探せないという点です。
指定流通機構(レインズ)への登録も、「専任媒介契約」は契約から7日以内なのに対し、5日以内と更に短く、よりスピーディーな売買成立が期待できます。活動報告も1週間に1回以上と短いサイクルのため、不動産会社と依頼者との相談の機会も多く、販売計画が立てやすいメリットがあり信頼関係も深まります。
契約期間は法律により3ヶ月以内と決められています。多くの不動産会社は3ヶ月以内の売却を目標に、折込チラシやポスティングなど積極的な営業活動を展開していきます。しかし残念ながら契約期間内に売却できなかったとしても、再度更新することが可能です。自動更新ではないため、その場合新たに媒介契約を締結する必要があります。
「専属専任媒介契約」は3つの媒介契約の中で一番拘束力は強いものの、不動産会社が一番力を入れてくれる媒介契約でもあります。不動産の売却は、一生に一回あるかないかのものですから、一般的に経験もなく誰しも不慣れです。煩雑な事務処理から全てを任せられる「専属専任媒介契約」は、非常に有効な媒介契約といえます。
編集部は基本的に「専任媒介契約」がおすすめ
それぞれの特徴を説明してきましたが、最も知りたいことは「どの媒介契約形態が一番いいのか」ですよね。
すべてのケースにおいて、この契約形態がベストだ!というものは存在しないのですが、基本的には「専任媒介契約」をおすすめします。
一番最初にご紹介した自由度の高い一般媒介契約の売り手にとっての一番のメリットは、複数の不動産会社と契約できることでしたね。営業活動をしてくれる不動産会社が多いほど、その分広範囲に買主が探せますし、万が一「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」でやる気やスキルのない不動産会社に依頼をしてしまったら、売却活動が大きく停滞してしまうことは想像に難くありません。
しかし、その一方で一般媒介契約だと、売却活動にやる気を出してくれない不動産会社が多いのも事実です。
なぜ、一般媒介契約だと不動産会社はやる気を出してくれないのでしょうか?
答えは不動産会社の取り分である仲介手数料は売買契約が締結したタイミングでしか受け取れず、もし売買契約まで至らなかった場合、それまでにかかった費用は無駄になってしまうからです。必死にチラシを作って撒いたり、お金と時間をかけてポータルサイトに物件情報を掲載しても、他の不動産会社が買主を見つけてしまえば、お金は1円も入ってきません。一般媒介契約の場合、他の不動産会社が決めてしまうリスクがあるため、収入につながらない取引になってしまう確率が、他の媒介契約と比べて高いのです。
そのため、一般媒介契約を通じて、複数の不動産会社があなたの不動産を競うように売り込んでくれるはずだという願いはなかなか現実のものとはなりえないのです。
ただし、「この物件はかなり人気があるから一般媒介契約だとしても決めたい」と不動産会社が思えるような不動産を持っている場合は、一般媒介契約でもすぐに決まることもあるので、あなたが売りたいと考えている不動産はどちらのケースに該当するのかを考えた上で、媒介契約形態を決めるようにすると良いでしょう。
よく読まれているページ
-
-
【相場】新築マンション・新築戸建物件を5年後、10年後に売却したらいくらで売れる?
「新築でマンションもしくは戸建てを購入したけど、5年後、10年後いくらくらいで売れるのか気になる」
-
-
3分でわかる!不動産相続の手続きの流れ・注意点一覧
「不動産を相続することになったけど、どう進めればいいのか見当がつかない。全体の手続きの流れをまず把握
-
-
マンションなど、不動産売却にかかる期間について【実データあり】
ご自宅の戸建てやマンションの売却を考えている方の中には、「売りに出したらすぐに売れてるだろう」と考え
-
-
マンションの売却相場を最も正確に調べる方法【保存版】
持っているマンションがいくらで売れるのか、気になりますよね。売却に至るきっかけは「住み替え」「相続」
-
-
マンション売却の内覧のコツ!内覧数を増やす&印象を上げるポイント
中古マンションの売却において避けられないプロセスの一つ「購入候補者によるマンション内覧」。 で