新築マンションを高く売るには?【未入居マンションの売却戦略】
このページでは、やむを得ない事情で新築マンションを手放すことになった人を対象に、新築マンションをいかに高く、そして早く売却するかについて解説していきます。新しいマンションを売りたいと考えている方はぜひ最後までご覧ください。
新築マンションの定義についておさらい
一般的に新築マンションといえば、「新しく建てられたマンション」を指しますが、マンションが建てられてからどの程度の期間までが「新築マンション」と定義されるのでしょうか?
「竣工1年未満」「未入居」であること
「新築マンション」の定義は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)、公正競争規約(不動産の表示に関する公正競争規約)という2つの法律・規約で定義されています。まず、品確法の第2条2項では、「新築の定義」に関して次のように規定されています。
(定義)
第二条 この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。
2 この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
つまり、
- 竣工して1年未満
- 未入居物件
という2つの条件を満たしているものが、「新築マンション」ということになります。
次に、不動産の広告表現に関して業界団体(不動産公正取引協議会)が設定したルールである公正競争規約の第18条1項では、新築の定義について以下のように記されています。
(特定用語の使用基準)
第18条 事業者は、次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該各号に定める意義に即して使用しなければならない。
(1)新築 建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。
つまり、不動産広告上の表現については、竣工して1年未満であっても、一度入居者が入った物件は新築マンションとは呼べません。また、入居者が一度も入っておらず、内装や設備機器がきれいな新築マンションだったとしても、竣工して1年以上が経過すれば、「中古マンション」に区分されるということになります。
新築マンションを売却するメリット
メリット1「買い手がつきやすい」
新築なので他のマンションと比べて建物の外見や室内が新しいため、人気が高く買い手が付きやすいのが特徴です。購入希望者が多いため、値引きなどの交渉があっても断ることができます。さらに、ペットの毛やほこりが気になる人や、アレルギーが心配な方も安心して購入できます。
メリット2「高値で売りやすい」
中古マンションに比べ、キッチン・リビングなど最新の機器を取り入れているので、家を購入する側の興味をひきやすくなります。また、人気のオール電化やウォークインクローゼット・流行のインテリアなど、中古マンションにはない新しい設備が設置されているため、高値で売れやすくなります。
また、立地条件がよければ購入した金額よりも高値で売れることもあります。
メリット3「リフォームをする必要がない」
一般的にマンションを売却する場合、リフォームやリノベーションをしなければ売れにくい場合がありますが、新築マンションであればリフォームやリノベーションの必要がないので、その分売却費用を高くすることができます。また、次の入居者が購入したあとも、住宅に欠陥が出るということも少なくなります。
メリット4「住宅ローンを組んでいる場合、保証料が戻ってくる」
住宅ローンを組んでいる場合、住宅ローン保証料を一括で払っている場合すべて戻ってきます。保証料の金額は、加入している保険会社やサービスによって異なります。そのほかにも、火災保険や地震保険といった保険料を一括払いしている場合も戻ってきます。
新築マンションを売却するデメリット
デメリット1「固定資産税減額のメリットが受けられない」
新築マンションを購入した場合、通常は一定の決められた条件で固定資産税が計算されます。
固定資産税評価額×1.4%(標準税率)
また、購入した新築マンションが決められた条件に合えば、購入か5年間固定資産税の額が2分の1に減額されます。しかし、購入間もない新築マンションを売却すれば、固定資産税減額のメリットを受けることができなくなってしまいます。
デメリット2「売却する理由を聞かれる」
新築マンションを売却する場合、購入を検討している方に、詳しく売却する理由を説明しなければいけません。例えば、急に転勤になり購入した家に住めなくなってしまったという場合は説明しやすいですが、ご近所付き合いがうまくいかない・離婚したといった理由の場合は、説明しにくい場合もあります。うまくごまかそうとすると、細かく聞かれることもあります。
デメリット3「新築物件として売却できないことがある」
新築マンションを購入したあと、一度も住んでいない物件であったとしても、一年経てば新築マンションとして売却することはできません。そのためマンションの工事が済んでから1年以上経つと中古マンションとして取り扱われます。そのため、部屋のすべてが新しい状態であっても、売却しにくいことがあります。
新築マンション売却までの流れ
STEP1「相場を把握する」
マンションを売却する前に、今と同じ条件のマンションがどれくらいの金額で売却されているかチェックしておきましょう。例えば、築年数・部屋の広さ・設備、周辺環境、駅までの距離などです。自分で調べる場合は、インターネットやチラシなどで確認できます。
ただし、インターネットやチラシで販売されている価格は、売主の希望価格です。その金額であれば必ず売れるというわけではありません。実際売却できた価格は、この価格よりも下がることもありえます。
また、できるだけ高く売りたいという売主の場合、売却できるまでに時間がかかっていることもあります。できれば、実際に売れた価格を確認しておきましょう。国土交通省の「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」で実際におこなわれた取引価格をみることができます。
STEP2「不動産会社を探す」
次は、不動産会社を探しましょう。新築マンションの場合、マンションを購入した不動産会社でも売却できます。マンションを購入した不動産会社に依頼すると、物件に対して詳しく情報を持っているため、売主側の手間が少なくなります。また、新築マンションを売却すると同時に、新しい物件の購入を検討している場合も便利です。マンションが売却できたタイミングで、新しい家を購入するということができるからです。
また、購入した不動産会社と別に探す場合は、マンションの売却に強い不動産会社を選びましょう。不動産会社には不動産投資に強い会社、中古物件に強い会社など会社によって大きく業務は異なります。また大手の不動産会社や地域に密着した不動産会社などもあります。今回のように、新築マンションであれば、マンションの売却に強い仲介業者を選びましょう。
STEP3「媒介契約を結ぶ」
不動産会社が決まったら媒介契約を選びます。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあります。「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に売却を依頼できます。また、自分で売却先を見つけた場合も売却できます。「専任媒介契約」は、売却を依頼できるのは一社のみです。
自分で売却先を見つけた場合も売却できます。「専属専任媒介契約」は専任媒介契約と同じように、売却を依頼するのは一社のみです。しかし、自分で売却先を見つけた場合は売却できません。最初から、購入した不動産会社に売却を依頼すると決めている場合は、「専任媒介契約」でいいでしょう。
STEP4「売り出す」
媒介契約が決まったら不動産会社は、販売活動を開始します。まず、インターネットやチラシを使います。チラシは、新聞にいれたり、マンションの周辺の住居にポスティングを行ったりすることもあります。
また、不動産会社で取り扱っているレインズといわれる指定流通機構へ登録します。レインズに登録すると、全国の不動産会社が物件情報を見ることができるため、多くの方に見てもらうこができます。さらに、オープンハウスを開催します。不動産の購入を考えている方は、実際部屋の中を見ることができます。オープンハウスは土日に行っていることが多いので、ご家族連れなど多くの方に見てもらうことができます。
STEP5「内覧者の対応をする」
インターネットやチラシなどの広告をすれば、内覧希望の方が不動産会社に連絡をします。不動産会社は売主に内覧する日の連絡がくるので、何日の何時に来るか決めておきます。そのときに、どんな方が来るのか、または何人来るのかなどを聞いておくといいでしょう。
なぜならば、一度に多くの人が来られる場合は、スリッパなどの用意も必要だからです。また、他の内覧希望者と重ならないように予定を組むことも必要です。内覧者の来る日時が決まったら、前もって家の掃除をしておきましょう。
部屋の中を見やすいようにするために、クッションや座布団など片づけられるものは、クローゼットにしまっておくといいでしょう。また、部屋のにおいを消すために、内覧者が来る一時間前にすべての部屋の窓や玄関を開けておくようにします。風通しがよくしておくと部屋の中のにおいが少なくなります。またカーテンや部屋のドアも開けておくと、お部屋を広くみせることができます。部屋の中も明るくなるので、開放感を出すことができます。
STEP6「契約する」
内覧する人が来るようになれば、契約したいという方が出てきます。本来は、先着順で契約をしますが、住宅ローンを組む場合、審査に通らないと契約することができません。ある程度の定期的な収入があるサラリーマンの場合審査に通る場合が多いです。
また、自営業は、審査が通るまでに時間がかかる場合があります。また、一度購入したいと連絡があった場合でも、やはり家族の反対があったから保留したいというケースもあるので、正式な契約が終わるまで安心できません。売主が契約に必要な手続きは、以下のようなものです。
- 購入申し込みの意志を売主に確認します。具体的に契約する日などを確認します。
- 重要事項の説明を不動産会社の宅地建物取引士の資格をもった担当者が説明します。建物の詳しい状況や売買代金の支払いなど取引条件について説明します。
- 重要事項説明が終わったら、売買契約書を作成します。この契約が終われば売主から買主に所有権が移転します。
- 売買契約書に買主・売主の両方の署名と捺印がおわれば契約成立です。この時点で、手付金がある場合は、買主から売主に手付金を支払います。
STEP7「引き渡しをする」
売買契約が終了すれば、引き渡しの準備をはじめます。売主が確認しておきたいことは、売主は住宅ローンが残っている場合、返済を行います。また、借入金の返済抵当権の抹消手続きもおこなっておきます。
引っ越しをする前に、ガス・電気・水道の転居手続きをします。売主が引き渡し日までにお部屋の掃除や引っ越しが完了したら、売主・買主で最終確認をおこないます。新築マンションですので、あまり不備がないかと思いますが、窓やドアが開きにくいといったケースもまれにあります。
しっかりとその場で確認することで、引き渡し後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、マンションを購入したときに受け取ったそれぞれの設備の説明書や鍵なども渡しておきます。引き渡し後にトラブルが発生した場合は、不動産会社より売主に連絡が来るようになっています。ただし、通常であれば売却したマンションに欠陥があれば補修しなければいけません。これは、売買契約時にどのようにするのか具体的に書かれているので、確認しておいた方がいいでしょう。
新築マンションを売るためにすべき対策
対策1「値付けは相場を意識すること」
売却を決めたら、どれくらいの金額で売却できるか調べましょう。まずは、そのマンションが建つ周辺の新築・築浅マンションがどのくらいの価格で販売されているかを、インターネットやチラシなどで調べます。インターネットを使い、レインズや土地総合情報システムで検索するという方法もあります。レインズでは、売却中もしくは売却された不動産の取引情報が登録されています。また、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」も実際に取引された売買価格をみることができます。まずは、周辺の類似物件の価格を確認したあと、実際に売買されている価格を確認するといいでしょう。
対策2「物件の魅力を整理する」
マンションを売却するためには、購入しようとしている方にどれだけ魅力を伝えるかが重要です。例えば、新築マンションの場合、外観だけでなく、室内の設備やフローリング・クロスは新しいのは当たり前です。その中でも特に伝えたいのは、マンションの周辺環境または、セキュリティなど他のマンションにないものです。
特に、新築マンションは最近話題のIoTを利用した顔認証サービスやスマートフォンなどを利用した鍵の解錠など魅力的なものがあります。このように、新しいという部分だけでなく、他の物件にはない魅力をまとめておくことが必要です。
対策3「売却理由を伝えられるように準備しておく」
今回のような新築マンションの購入を考えている方が知りたいのは、どうして新築マンションを売却するのかという理由です。購入する側は、もしかして何か大きな問題があったのでは?と不審に思うことがよくあります。だからといって売却理由を偽ってはいけません。
例えば、家族が増えたのでもっと広いマンションに引っ越ししたいという理由ならそのまま伝えてもいいでしょう。しかし、思ったよりも周辺の音が気になる、近隣の人と気が合わないなどといった理由ならどうでしょうか?このような理由で断られないためにもマイナス面だけでなくプラスの部分も一緒に伝えるなど、うまく売却理由を伝えられるように準備しておく必要があります。
対策4「内覧対策はぬかりなく」
マンションの見学をしたいという方が現れたら、いい印象を与えるためにしっかりと準備をしておきましょう。部屋の掃除や片づけは、いつもより丁寧におこなっておきます。できるだけ、間取りや広さを確認しやすいように、床の上に置いているものも片づけておくといいでしょう。
特に気になるのが部屋のにおいです。住んでいる人には気が付かないにおいがすることがあります。見学をする人がくる30分前位から玄関や窓を開けて風通しを良くしておきましょう。また、窓のカーテンも開けておくと家の中が明るくみえます。また、見学に来られたらこちらから積極的に説明するのではなく、質問があれば答えるくらいの対応をしましょう。
対策5「不動産会社に依頼する場合は媒介契約について考えておく」
不動産会社に売却を依頼する方法には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります。一般媒介は複数の不動産会社に売却を依頼できる方法です。また、売主が買主を見つけた場合も売却することができます。
「専任媒介」はひとつの不動産会社に売却を依頼する方法です。こちらも、自分で買主を見つけることができます。「専属専任媒介」は専任媒介と同じく不動産会社は一社にしぼります。しかし、自分で売主を見つけて売却することができません。
これらの3つの売却方法を比較すると、一見すると一般媒介が一番早く売却できるような気がしますよね。しかし、不動産会社は「専任媒介」の客を優先することがほとんどです。なぜならば、専任媒介の場合自社でしか売却できないので、広告費や人件費を使って売却しても損をしないからです。どの方法にもメリット・デメリットがあるので、不動産会社と相談しながら決めていきましょう。
まとめ
新築マンションを売るメリット・デメリット、そして売るためにやるべき対策についてお伝えしてきました。新築マンションは古いマンションと比べると高い金額で売れる可能性がある一方で、買い手に対してきちんと魅力が伝わらないと高いからと敬遠されてしまうリスクもあります。
新築マンションの売却を成功させるため、些細に思えることでも、できることをしっかりとやっていきましょう!
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